Missionについて

「非エンジニアのためのエンジニアリング」が果たすべき使命は、次の通りです。
 
  • エンジニアリングの民主化を通じて、楽しく働く人を増やす
 
このMissionについて、「エンジニアリングの民主化」と「楽しく働く人を増やす」の部分に分けて説明します。
 

「エンジニアリングの民主化」

「民主的」の反対語は、「専制的」です。「専制」とは、「独断で思うとおり処理すること」です。これまで、エンジニアリングの力はエンジニアやITベンダーによって寡占されていたように思います。もちろん、ほとんどの職種の人がエンジニアリングを駆使してつくられた業務アプリケーションを使っています。間接的にエンジニアリングの恩恵を受けていると言えるでしょう。しかし、ほとんどのエンジニアリングの現場は、依然として「エンジニア」と呼ばれる人たちを中心とするチームにあります。「非エンジニア」のほとんどは、ブラックボックス化した業務アプリケーションなるものに振り回されています。こうした状況が生み出された背景には、「エンジニア」と「非エンジニア」の共犯関係があったように思います。「エンジニア」は「非エンジニア」から知識を奪い取ることで、自らの仕事を効率的に進められるようにしました。「非エンジニア」は小難しいエンジニアリングを「エンジニア」に押し付けることで、本来の業務に集中できるようにしました。どちらが悪いという話ではなく、当時の環境下における効率性を追求した、きっと合理的な判断でした。
しかしながら、エンジニアだけがエンジニアリングに向き合うようなアプローチでは対応できないほど、多くの業務や事業は複雑で変化の早いものになってしまいました。たとえば、今現在の情報を元に1年後にリリースするtoCのサービスを全て設計したとしても、すぐに市場環境が一変し1年後には時代遅れのサービスをリリースすることになってしまう。そんな悲劇が数多くの現場で起こっています。サービス自体の内容や機能に限らず、その広め方、売り方、改善サイクルの回し方などを変化に強いものにすることが、事業上の競争力につながっていく局面が増えています。不確実性の高い状況において確実に前に進むためには、より現場に近い側でパラレルかつ高速に仮説検証サイクルを回す必要があります。エンジニアにエンジニアリングの全てを押し付けているようでは、スピードを上げることは難しくなってしまいます。
エンジニアリングとは何かについて、『エンジニアリング組織論への招待』[広木 大地(2018).  技術評論社]には次のように記載されています。
エンジニアリングという行為は、何かを「実現」することです。実現のために、不確実性の高い状態から、不確実性の低い状態に効率よく移していく過程に行うすべてのことです。
エンジニアリングと聞くと、「プログラムを書くこと」の格好いい言い方だ、くらいの印象しか抱かないかもしれません。しかし、不確実性を効率よく下げるための行為をエンジニアリングと呼ぶのであれば、もっと広い行為を指しているはずです。非デザイナーでも日々の業務で少しはデザイン(設計)をしているように、非エンジニアでも日々の業務で少しはエンジニアリングをしています。その上でさらに強力で効率的なアプローチを学ぶためには、エンジニアリングのプロであるエンジニアたちが積み上げてきた知見を借りるのが手っ取り早いです。特に近年ソフトウェアエンジニアリングの分野では、エンジニアリングの対象とする業務領域がどんどん広がっています。プログラミングやソフトウェア設計だけではなく、組織設計、MTGの進め方、チームビルディングなどについても、ソフトウェア工学的アプローチによって知見が積み上がってきています。こうした知見は、ソフトウェア開発やエンジニア中心のチーム以外でも役に立つはずです。
幸い、こうした知見が反映された業務アプリケーションがものすごい勢いで数を増やしています。その多くはSaaS形式で提供され、Webブラウザから誰でも簡単にアクセス可能になっています。しかし、それらを深く使いこなすためには、ベースとなるエンジニアリング知識が求められるケースも多いです。アプリケーションの設計思想を理解することで、効率的な使い方の予想がついたりします。また個別具体的なレベルでも、「カスタマイズにはJavaScriptや正規表現の知識が必要です」といったケースは多いです。どんなに素晴らしいアプリケーションであっても、この世の全ての複雑かつ変化の早い課題に対しての最適解を自動で出してくれるわけではありません。人間の脳のメカニズムすら完全には解明されていない現状で、それを超える汎用AIが生まれる未来に期待するのは現実的ではありません。アプリケーションを使いこなすためのエンジニアリング知識を身に付けて、一緒に不確実性に立ち向かっていきましょう。
 

「楽しく働く人を増やす」

ここまで書いてきた「エンジニアリング」にまつわる内容を読むと、「今までと同じやり方では仕事が無くなってしまうかもしれない」と不安に感じたかもしれません。しかしあえてポジティブに捉えると、「今までの仕事にエンジニアリングの力を掛け合わせて希少価値を出すチャンスだ」とも言えます。
仕事を楽しくするためには、一定以上の評価を社内外で得るのが近道です。評価されているという実感があればこそ、言いたいことが言えるし、自由に動けるからです。評価されるための強力な手段の一つは、自分の希少性をあげることです。そして、希少性を上げる手っ取り早い方法は、複数のスキルを組み合わせることだと考えています。1つのスキルを突き詰めて希少性を出している人は、よく目立ちます。ときには格好よく見えるかもしれません。一方で、多くの人が自分の土俵で戦おうとする結果、競争が激しくなりやすいという側面もあります。対して、複数のスキルを組み合わせて希少性を出すアプローチは、工夫と努力次第で誰でも価値を出しやすいです。
「エンジニアリング」という領域は、他のスキルと掛け合わせてシナジーが出やすいと感じます。それは、エンジニアリングという概念自体が、「不確実性を効率よく下げるための行為」という懐の広いものであるからです。誰もが自分のメインの職種や役割に応じた不確実性と戦っています。その不確実性に立ち向かっている人自身がエンジニアリングの素養を身に付けることは、さらに高い価値を出すための強力な「2つ目の武器」になるのではないかと思っています。
 
そんなわけでこのサービスは、「エンジニアリング」という力を借りて、さらなる希少価値を出してもっと楽しく働きたい人を応援し、日本のお仕事界隈をよりハッピーで生産性の高いものに変えていくための一助となることを目指します。